ちょっと特別視すりゃ不平等呼ばわり



椎名林檎は普通の生活をして一般的な普通の感覚で生きてあくまで仕事として作家業歌手業をしていると常々云う。本当は裏方に回りたいんだけど、私がプロデュースしたいことを表でしてくれる人がいないから仕方なく出ているんだと。
それは素直な本人の気持ちなのだろうけど、曲を創り歌うことに対してそんなスタンスで臨み、そして物凄いクオリティのものを生産する事は「普通」と相容れない事態だ。私はそういう部分に才能を感じ、この人は違うんだな、と思ってきた。
西加奈子さんはそのことについて、貴女は裏方に徹したくても外に出続ける運命にいるのよ 残念ながら、というようなことを本人に云った。その時の林檎さんの表情がなんとも言えず、全く理解できない何を仰っているのとでも言いたげで、あぁ、この人はとことんなんだなぁ、と。



素敵な対談だった。
本当に濃い話が色々聞けた。
西さんの、女の子の友達で本当に大切な人のことを言い表す言葉が「まさかの友達以上恋人未満とかいうダサい言葉しか無い」という発言に、まだまだ作られていない「言葉」があるのだなぁと感心した。そしてそこに着目し、創作を通して切り開いていこうとする西さんは本当に繊細な感性を持っていて、又吉の言う通り、人間が大好きなんだなと思った。
あと、文字の意味ばかりに囚われて関連を聞いてくる人が多い、怖いんだという言葉にもとても共感。その作品の持つ「気配」を読むというのは、所謂「行間を読む」ということなのかな?私も、作品の解釈であらゆることに意味を求める、深読みをするのは本当に意味がないし、何をそんなに関連付けたいのかが分からないんだよな。人間の行動全てに意味を求める方が可笑しいんだっていうことが分からないのかしら、と思う。もっと自分が感じたことシンプルに好きか嫌いか、だけでいいと思うんだけど。これは半分自分への言い聞かせでもある。


まだまだ良い話は沢山あったけどキリがないのでこれで。
ああ、共感百景にますます行きたくなった夜だった。西さんにメロメロだ。これだから東京が羨ましい。